車両盗難被害は後を絶たない

車両盗難被害の件数は、数年前まで減少傾向が続いていましたが、コロナの終息後から上昇に転じました。2023年までは、車のメンテナンス用の仕組みを悪用したCAN（キャン）インベーダーによる盗難が主流でしたが、メーカーが対策を行ったと同時に、通称ゲームボーイと呼ばれるメーカーの盗難対策が対応できない新たな手口が生み出されました。

統計上、盗難された車は約半数が見つからない状況であり、組織的窃盗犯が活動する都道府県では約8割が見つからないという統計もあります。また、たとえ車が無事見つかったとしても、内装の破損やパーツの盗難被害が発生しがちです。このことから、被害拡大を防ぐには早期発見が何より重要だと言えるでしょう。

また、最近では、メーカー純正でGPS装置を備えた高額車もありますが、取り付け箇所や配線は車種ごとに異なるものではないため、組織的窃盗犯はそれらの無効化手段を学んでから窃盗を行い、盗難後30分以内に無効化されているという情報もあります。

そのため、取り付けているか否かが判らず、取り付け場所もオーナーの考えひとつで変えることができる社外品のGPS発信機を車両に装着し、リアルタイムで位置情報を追跡できるサービスが注目されています。発信機から常に現在位置を把握できるため、盗難された場合でも早期に車の位置を特定し、被害を最小限に食い止められるのが大きなメリットです。

総合的な盗難防止対策と追跡システムの活用で愛車を盗難から守る

増加している車両盗難から愛車を守るためには、盗難防止対策が必須です。物理的な対策としては、比較的安価かつ手軽に実施できるハンドルロックやタイヤロックがあります。電子的な対策には、正規のキー以外ではエンジンが始動しないイモビライザーも選択肢です。

また、人通りの多い明るい場所や防犯カメラが設置されている駐車場を選ぶ、車上荒らし対策として車内に貴重品を放置しない、自宅駐車場に防犯カメラやセンサーライトを設置するなども、盗難防止対策に挙げられます。

ただし、ロックが破壊されるリスクや、固有番号の書き換えといった盗難手口への対応が不十分など、懸念点も多いです。そこで、GPS発信機を利用した車両追跡サービスが有効な対策となります。複数の対策を組み合わせて、愛車の盗難リスクを最小限に抑えましょう。

車の位置を把握できれば被害を最小限に抑えられる

車両盗難被害に遭った際、早期に位置を特定できれば、被害の拡大を食い止められる可能性が高くなります。発見が遅れると、車両が解体売買されたり、国外に持ち出される危険性が高まります。そうなれば、車両の回収はほぼ望めません。

GPS発信機などによる車両追跡サービスは、リアルタイムで位置情報を追跡できるため、盗難車両の早期発見に有効です。リアルタイムに位置情報を取得できることで、警察への通報や追跡が容易になり、愛車を奪還できる確率が高まります。早期発見は車両本体の損害の最小化にもつながるでしょう。

GPS発信機の活用

• 小型で目立たない場所に設置可能
• リアルタイムで位置情報を把握
• スマートフォンアプリと連携し、簡単に追跡可能

迅速な対応

• 盗難に気づいたら即座に警察へ通報
• 追跡サービス提供会社にも連絡し、サポートを受ける
• 位置情報を確認しつつ、警察と連携して対応

プライバシーへの配慮

• 追跡機能は盗難時のみ使用し、日常的な監視は避ける
• 従業員や家族の車に設置する場合は事前に同意を得る

定期的なメンテナンス

• GPS発信機の電池切れや故障に注意
• ソフトウェアのアップデートを忘れずに行う

これらのポイントを押さえることで、万が一の盗難時に迅速かつ効果的な追跡が可能となります。ただし、追跡サービスに頼りすぎず、日ごろから基本的な盗難防止対策も怠らないようにしましょう。

リアルタイムで車の位置がわかる

車両追跡サービスでは、車両にGPS発信機を取り付けることで、リアルタイムで車の位置を把握できます。一般的には、サービス会社のウェブサイトやスマートフォンアプリから以下のように車両の位置を確認できます。

車両位置の確認方法

1. アプリまたはウェブサイトにログイン
2. 「車両位置確認」などのボタンをクリック
3. 地図上に車両の現在位置が表示される

位置情報はリアルタイムで更新されるため、車両が移動中でもその経路を追跡できます。万が一の盗難時には、警察への情報提供に役立ちます。

盗難された車両の行方を特定しやすくなる

車両追跡サービスを利用すれば、リアルタイムで車の位置情報を把握できます。車両に装着されたGPS発信機から送信される信号を解析し、地図上での正確な位置をスマートフォンアプリやウェブサイトで確認できるのです。

たとえば次のような場面で威力を発揮します。

• 駐車場から車が盗まれた→アプリで最新位置を確認し、車の行方を追跡
• 自宅の車庫から車が盗まれた→地図上の移動履歴から盗難ルートがわかる

盗難された車両の早期発見は、被害の拡大を最小限に食い止めることにもつながります。また、追跡データは警察への届け出にも役立ちます。迅速な捜索が可能になり、車の確保や犯人検挙の決め手になるかもしれません。

GPS発信機の取り付け場所と方法

車両追跡サービスを利用する上で、GPS発信機の取り付け場所と方法は重要なポイントです。不適切な設置では、窃盗犯にGPS装置を取り付けていることが知られて捨てられる可能性があります。

一般的に推奨される取り付け場所は、車の内装の内側、トランクルーム下など、簡単に見つけることができない場所に設置するのが理想です。

取り付け方法は色々ありますが、仮にGPS装置の搭載が知られても、簡単にアクセスできない場所に外しにくい方法で固定するのが理想です。

アプリやウェブで位置確認

GPS発信機からの位置情報は、専用のアプリやウェブサイトで確認できます。スマートフォンなどの端末にアプリをインストールすれば、いつでもリアルタイムの車両位置を把握できます。

アプリの機能例

• 地図上に現在地がピンポイントで表示
• 走行経路の履歴を線で表示
• 現在地周辺の交通渋滞情報の表示

アプリの他にウェブサイトからも車両の位置情報にアクセスできるサービスがあります。アプリやウェブサイトから簡単に位置情報を視覚的に把握できるため、オーナーは車両の動きをリアルタイムで把握できます。

また、製品の中には、位置情報を共有することが可能なものもあります。

警察や友人・知人と盗難車両の位置を共有することで、車両の動向をより正確に把握することができます。

盗難届の提出

届出時には、車検証に記載のナンバープレート（登録番号）と車体番号が必要になりますので、事前に車検証のコピーを保管しておくと便利です。

GPS追跡アプリの中には、これらの情報を予め登録可能な製品があります。便利に活用しましょう。

また、警察から受理番号を必ずもらっておきましょう。これは、後に車両保険の請求手続きで求められる場合があるからです。受理番号の確認方法は警察署によって異なることもあります。

以下には、大変残念ですが、盗難された車両が一定期間見つからなかった場合に行うことを記載します。

保険会社への連絡

加入している任意の車両保険に盗難補償が含まれていれば、手続き後に保険金の支払いを受けられます。保険金請求の期限があるため、早めに保険会社へ連絡を入れましょう。

一時抹消登録

次に、盗難車への課税を停止するため、管轄の運輸支局で「一時抹消登録」を行う必要があります。一時抹消には、車検証、ナンバープレート、印鑑証明書と実印、申請書、手数料印紙などが必要になります。盗難で関係書類を紛失した場合は、理由書に必要事項を記入します。

一時抹消登録が完了すると、車検の有効期限が切れた状態になり、盗難車を発見した際は再度の登録と車検を受ける必要があります。

都道府県税事務所への申し立て

最後に、一時抹消登録が完了次第、都道府県の税事務所から自動車税の還付通知が送られてきますので、手続きに従って請求を行います。再登録しない限り、翌年以降の自動車税は課税されなくなります。